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presented by 岸和田だんじり祭振興会 

 
 祭狂爺爺がお届けするだんじりコラム。
 祭礼の歴史や、だんじりの彫物などにまつわるよもやま話をお楽しみください。
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2002年8月号

祭狂爺爺のだんじりコラム

地車を支える工匠をたづねて <地車の足廻り編>

“ギッシ、ギッシ、ギシと木が軋む
   音を出しつつ地車が
      町衆とともに岸和田の城下を練り歩く”

 江戸時代、地車の車軸に樫の木が使われ動きが良いようにと松やになどをつけたという。その車軸はまさしく芯棒であった。下って明治に入り鉄の車軸が使用されるようになり、芯棒から芯金へと変わったのであるが、鉄の車軸の登場に伴いドビの使用、セッパ・メタルなどが使われ時代の変化とともに地車の足廻りも少しずつ変化し、スピードが増して行くこととなる。

 現在でも工夫されている足廻りですが、例えば芯金の鍍金、ドビの中のオイルレス、ベアリングの仕様、モスターの仕様、スラストの取付などが色々あるが、足廻りは高度な日本の鉄鋼・機械技術が見えないところに取り入れられ、より早く、安全にと創意工夫されているのである。
  また、昭和33年警察からのブレーキ装着も義務づけられ、装着されることとなる。スピードも増し、事故が多発してきたことによる仕方のない流れであったのである。

 それともう一つ地車のコマは大工さんが円をかき、手斧ではつって丸く仕上げられていたのであるが、昭和30年代より鉄工所の旋盤でコマが巻かれるようになり、現在では丸柱・勾欄の保子木なども旋盤で巻かれている。そして昭和40年頃より土台妻下に足が入らぬようにと安全冊が取り付けられるようになり金物関係は地車の色々な部分に使用されているのである。
 
 これらの必要上、岸和田には地車金物を製作されている職人さん、鉄工所があり、この方々に共通していえることは祭に参加し前梃子を持たれた経験から、地車の動きや足廻りの疑問の解消・創意工夫が生まれてくることである。
 現在市内にある地車金物やコマ巻きなどをされている鉄工所を紹介しますが、前述のとおり何れの方々も地車・祭が好きであるがゆえに仕事をされ工夫もされる。ここでも地車を支える職人さんの知恵と姿が見えてくるのである。

 

◎角野工業所  岸和田市神須屋町角野工業所のロゴ

 角野工業所の角野辰之助氏は紙屋町生まれで前梃子を十年持たれ、そこから生まれてくる疑問のうちに、それぞれ地車一台一台にあった足廻りがあり、必要であるとの考えを持たれ創意工夫されたが、惜しくも今年七月に急逝され、現在若きご子息があとを受けて頑張っておられる。

 

◎有限会社 北野溶接所  岸和田市地蔵浜町北野熔接所のロゴ

 社長北野隆一氏は、紙屋町生まれで十数年前梃子を持たれ曳行責任者も務める。
 現在、主な工務店関係の地車金物製作を幅広くされている。北野氏も地車・祭好きであることは言うまでもないが創意工夫が熱心で現在、金属からモスターという材質を取り入れられドビの中の軸受・半月板・セッパなどに使用されている。もちろん従来品の仕様のものも造られている。その他には金網の真鍮枠も作られ地車金物一式を取り扱われている。

 

◎株式会社 西出鐵工所  岸和田市磯ノ上町
西出鐵工所のロゴ

 社長西出慶三氏は兄弟三人とともに同じ職をされ岸和田市大北町生まれで大北町の前梃子曳行責任者を務める。先代尊父仁三郎氏も同じく鉄工をされ、昭和30年前半(昭和33年?)警察から義務づけされたブレーキを色々と工夫され、その仕様を図面に起し、要請があって警察に図面を提出されたといわれる。かつてはコマの旋盤がけを一年に350個もされたことがあったといわれるが、現在は他の仕事の関係で芯金・ドビ・ワンコの製作と丸柱などの旋盤がけを工務店をしぼって仕事をなされている。
 西出氏での取材で面白い話しがあり、数年前、地車の芯棒(樫材)の加工をされたことがあったと言われるが、その地区の方々の話しによると古い芯棒は五十年前の芯棒であったそうで、口径は現在使われている芯金よりもずっと太いのであるが樫の芯棒も仲々長く持つようである。当然岸和田市の今のような曳行ではないが、今も木の車軸を使っている所があることに江戸時代、地車が木の軋む音をさせながら曳行され、その音がまだ聞ける所があることに何かほっとした気持ちになったのである。

 

◎森 鉄工所  岸和田市大北町森鉄工所

 岸和田市大北町で親の代より鉄工所をされ昭和27年より大北町の地車をみてられる。社長森修一郎氏も14年間前梃子をされ、曳行責任者・町会長・連町会長を歴任される。
 森鉄工所が出される車軸は、今多く使われているのが45Cという材質であるのに対し、列車の車軸に使われるSCMという材質を使用されている。もちろん従来品も造られているのであるが、この方も創意工夫に熱心な方である。

 

泉州岸和田住 祭狂爺爺 記