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presented by 岸和田だんじり祭振興会 

 
 祭狂爺爺がお届けするだんじりコラム。
 祭礼の歴史や、だんじりの彫物などにまつわるよもやま話をお楽しみください。
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2003年12月号

祭狂爺爺のだんじりコラム

まだまだ続くか地車新調・修理ブーム

 地車・祭り好きには季節とともに寂しい時期となりました。今年も地車新調・修理がたくさんありましたな。まだまだ続く新調・修理。それとともに後を譲る地車。今尚続く新調・修理ブームのなかで、真新しい地車に興奮を覚えつつ、思いが行くのは昔に作られた地車なんですな。

  昔に作られた地車には年を経て刻まれた風格と貫禄があることもさることながら、どこかしら昔の職人の心意気が感じられるのである。こだわりと技の結集とでもいいますか職人衆の創意工夫には驚かされるところがあります。かつて地車を製作する大工さんは建築をしながら地車を製作した。いわば、大工さんの名誉みたいなものといいますか「こんな細工やってみい」と言わんばかりの発想や工夫を感じ、彫物をじーと見ていると当時の彫師さんが気が向けば暗い晩でも蝋燭やランプの灯りの下でこつこつと木を刻む姿が浮かんできますな。そこには工賃も大事やがそれ以上のこだわりを持ち、それ以上の仕事をしたいという職人気質といいますかねー、時間の流れもゆったりしていたこともありましょうが、気迫が地車から滲み出ているように思えます。そう思いながら昔の地車の写真を見ている今日此の頃であります。

 そんな訳で今回はだんじり会館にある沼町地車の主屋根正面枡合「平 経正 都落ち」を紹介しましょう。元沼町地車は明治34年7月新調。大工棟梁 櫻井新兵衛(新六 《大新》)、彫物師は櫻井義國《左衛門》作の地車であります。図柄は平家物語・源平盛衰記などから取られた源平戦記一式であります。



主屋根正面枡合 「平経正 都落ち」

主屋根正面枡合 「平 経正 都落ち」

「平経正(たいらのつねまさ) 都落ち」 寿永二年(1183年)

 平家は倶利伽羅合戦、篠原の合戦などで破れ、一門都落ちする中、清盛の弟で経盛の長子、琵琶の名手、経正が都落ちするに際して師匠である仁和寺五代守覚法親王に暇乞いのため、お下げ渡し下さりたる琵琶の名器「青山」(せいざん)を返上するため参上し、これにて名曲「青海波」「蘇合香」など弾きずれば聞く人皆涙して天空には迦陵頻伽(がりょうかんか−天女の鳥)が現れ出でたるという場面にて二重枡合上に迦陵頻伽を下には都落ちする経正を彫ってあります。

 地獄極楽紙一重「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす 奢れる者久しからず・・・・・・」と琵琶を弾じて盲目の法師が語ったと言われる平家物語。これを象徴する琵琶を持った経正を源平一式の主眼を表す図柄として正面枡合に据えたるところは心憎きまでの演出であります。

◇旧・沼町地車は岸和田だんじり会館にて展示保存されています。



泉州岸和田住 祭狂爺爺 記